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シックキッズニュース 2月号 (NO.45) コロナ禍でのスギ花粉症対策について

シックキッズニュース 2月号 (NO.45) コロナ禍でのスギ花粉症対策について

コロナ・コロナでかしましいご時世ですが、厳しかった寒さも2月になれば少し和らぐそうです。ならばコロナも減るはず。しかし減っても「ゼロ・コロナ」にはまだ遠い。ゼロにしないと恐怖は消えない。だからコロナ禍というのでしょう。一方、スギ花粉症の方にはつらい時期です。昨年夏に国立成育医療センターから、5歳児で3人に1人(32.8%)、9歳児で半数以上(57.8%)が血液検査でスギ花粉に感作されている衝撃の事実が報告され、今や日本の子どもはスギ花粉症と「無縁」ではいられなくなりました。そこで今月は、今年のスギ花粉の飛散時期と飛散量の予想、それにコロナ禍での花粉症対策にフォーカスを当てました。花粉症の方、必見です。

 

今月のフォーカス コロナ禍でのスギ花粉症対策について

 

1. ことしのスギ花粉飛散時期とピークは例年より早い

2. 今年の九州スギ飛散量は平年より少ないが、昨年より増えるようです

3. コロナ禍での花粉症対策

4. それで、現実問題、大分で花粉症の人が本当にコロナに感染したりうつしたりするのでしょうか?

コラム:抗アレルギー剤の「インバース・アゴニスト」効果

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1. ことしのスギ花粉飛散時期とピークは例年より早い

スギの花粉は7月ごろから成長をはじめ、秋の10月までには花は完成します。そして冬には休眠に入るそうです。花も冬眠するのですね。12月末から1月初めに休眠から覚めて開花準備に入るといわれています。休眠から覚めることを「休眠打破」というらしいですが、休眠打破は気温と強い相関があるそうです。つまり、「平均気温10℃未満、最高気温12℃未満の日」という低温に「約5週間以上」さらされると休眠が完全に打破されるそうです。休眠打破後は、気温の積算温度が170~250℃程度になると開花、花粉を放出するそうです。つまり冬眠から目覚めた後は逆に暖かくなると一気に花粉が飛ぶ、というわけです。(以上、森林総合研究所のWEBサイト参照)

出所:株式会社ウェザーニューズ ホームぺージ

今年の冬は冷え込みが強かったので、休眠打破は順調にすすんでいるとみられています。2月は中旬にかけて気温が平年並みか高いと予想されていますので、例年より花粉が早く飛び始めるところがあるでしょう。1月20日、日本気象協会が最新の予測(2021年春の花粉飛散予測第3報)によると、九州、四国、東海、関東の一部がそれにあたり、2月の上旬には花粉シーズンがスタートすると予想されています。大分を含む九州北部は、ずばり「2月7日(日曜)」がスギ花粉飛散開始日と予測されました。飛散のピーク時期ですが、九州はスギ花粉のピークが2月下旬から3月上旬、ヒノキ花粉ピークが3月下旬から4月上旬となるでしょう。

日本気象協会HPから

 

2. 今年の九州スギ飛散量は平年より少ないが、昨年より増えるようです

花粉飛散量は、「前年夏の気象条件」と「前年春のスギ花粉の飛散量」の2つに影響されます。つまり、夏に日照時間が長く気温が高いと花粉飛散数が多くなり、花粉が少なく飛んだ年(裏年)の翌年は花粉飛散数が多くなる(いわゆる表年)傾向がみられます。昨年春には、ステイホームと歴史的な花粉飛散数の少なさだったこともあり、スギ花粉症の方にとってはいい年でした。

今年はどうでしょうか?昨年6月は、全国的に日照時間、気温ともにほぼ平年並みでした。7月は、九州地方はまだ記憶に新しい人吉・球磨地方、日田・天ケ瀬温泉地区の豪雨被害もあったように梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多く、気温も平年より低かったです。ところが8月になると一変して記録的猛暑でした。このような夏の気象条件および昨年春の全国的に花粉が少なかった状況から、今年のスギ花粉の飛散量は、おおむね平年よりは少ないものの、九州から関東にかけては昨年に比べたら飛散量は増えるのではないかと予測されます(図)。昨年花粉症の症状が軽かった人も、今年の春には注意が必要です。

日本気象協会HPから

 

3. コロナ禍での花粉症対策

●コロナと花粉症はどうやって見分ければいいでしょうか?

この時世、くしゃみ鼻水の人をみたらどう思いますか?かぜ?まさかコロナじゃない?・・・と思いたくなりますが、コロナと花粉症。症状はかなり違います。コロナでは咳はしてもくしゃみ・鼻水はほとんどないそうです。一方花粉症は、鼻と目、あるいは皮膚の症状がメインで、咳はありません。それにコロナは「感染症」ですが、花粉症は「アレルギー」。「発熱」という感染兆候があるかどうかがカギです。コロナは程度の差はあれ発熱がほぼ必発。一方、スギ花粉症では熱はふつう出ません。

似ているところ、といえば、花粉症は鼻が詰まるので、嗅覚に違和感があるかもしれません。コロナでもにおいや味(嗅覚・味覚)に異常のケースがあることは有名ですが、においがおかしいな、と感じた場合でも、味覚にとくに異常がなく鼻水・目のかゆみがメインであれば、あまりコロナは心配する必要はないでしょう。また、コロナウイルスは結膜からも侵入可能とありますが、結膜炎症状はないそうです。眼がかゆい、充血があるからといって、それは花粉症の典型的症状であってコロナの心配はご無用、というわけです。

 

●コロナ禍での花粉症の3つの問題点

その1:他人の目が気になること

スギ花粉症の人の多くは、くしゃみ・鼻水・目のかゆみが春先にあれば「花粉症の症状」と簡単にわかると思います。問題は、鼻をぐずぐずしていたら「人からコロナと疑われないか」と心配になることです。

ただでさえ日本人はヒトの目を気にする国民性。他県ナンバーの車に嫌がらせをする、医療関係者や介護職員の家に「やめろ、まきちらすな」など書いたビラを入れる、などなど、いわゆる自粛警察の活躍をマスコミが面白おかしく取り上げていて、心配になる花粉症の方も多いと思います。実際に咳で人の目が気になるぜんそく持ちのひとたちに、ある薬局が「喘息バッチ」の缶バッチを作成し、無料で配り注目されました。

スター薬局大野原店(香川県観音寺市)で無料提供されていた喘息バッチ

 

それにあやかり、「花粉症バッチ」も登場しているようです。人の目が気になる方には結構重宝されているようで、それに目ざとく目をつけた商売人は、早速ネットとかで販売開始しているようです。

楽天市場で見つけた花粉症アピールのための缶バッチ(花粉症で咳がでる?とツッコミはしないように)

その2:花粉症症状があるときコロナウイルスに暴露されたら感染の危険が高まる可能性がある

気管支ぜんそくなど、アレルギー疾患をもっている人たちには、コロナウイルスがヒトに侵入するときに重要な役割をする受容体(ACE2受容体といわれています)の発現が低いから、アレルギー疾患をもっているヒトには意外に感染力が低い、といううれしい報告もあります。それでもいまやスギ花粉症は国民の4人に一人が悩んでいる国民病。コロナにかかった人、あるいはコロナウイルスを無意識的に保持している人のなかにスギ花粉症の人も少なからず混じっているのは確実でしょう。

スギ花粉症の主な症状は鼻水・目のかゆみ・顔の皮膚のかゆみがメインなので、どうしても手で顔を頻繁に触ってしまいがちになります。万が一その手にウイルスが付着していたらどうなるか。しかも花粉症の人たちの鼻や結膜の粘膜が炎症を起こしてあれた状態にあり、バリア機能がおちている可能性はあります。つまりウイルスなどの病原体の侵入を簡単に許してしまう状態にあるのかもしれません。日本国内で花粉の時期にコロナが問題になるのは今年が始めてなので、花粉症だからコロナにかかりやすい、という明確なエビデンス(報告)はまだないですが、これは誰もが容易に想像できることです。

その3:コロナの人、あるいはコロナに知らずに感染している花粉症の人は、周囲に感染させる機会が増える可能性がある。

先ほども言及しましたが、スギ花粉症は今や国民の4人に1人がもっている国民病なので、コロナにかかった人、あるいはコロナウイルスを無意識的に保持している人のなかにスギ花粉症の人も少なからず混じっているのは確実でしょう。

一般的にコロナだけでは鼻炎症状はないのですが、これにスギ花粉症が加われば話は別。花粉症の主症状は大量の鼻汁。それをふき取るために鼻かみをします。その時に鼻水の中にコロナウイルスが混じっていたらどうなるか、噛んだティッシュや手にウイルスが大量に付着するであろうことは想像に難くないです。処置後の不適切なティッシュやマスクの廃棄不十分な手指洗浄・消毒で、ウイルス含有鼻汁が環境中に増えて接触感染の危険性が高まる可能性が危惧されてはいます。

 

●コロナ禍でのスギ花粉症の注意点と対策

その1:適切なマスクの装着、使用後の処分と鼻かみ後の手指洗浄・消毒(肌の弱い人はほどほどに)

先に書いたように、コロナ禍においては、くしゃみや鼻すすり、鼻かみ、目をこするなどの症状自体が他人を不安にさせたりお互いの感染リスクを上げかねない行為となります。だからいつものシーズンよりもいやをなく気を遣わさるをえません。いつもの年よりマスクの処置や鼻かみ後の手指洗浄・消毒に気を使わざるを得ません。特に日本人にとって他人を思いやることは美徳ですので、好感度アップすることと思います。花粉症対策では、花粉の粒子の大きさや見た目を考えれば、医療用の不織布マスクの必要はなく、いまはやりののおしゃれな布マスクをきちんと選択すればいいと考えます。

残念ながら使い捨ての不織布マスクなどがポンと道に捨てられている風景をみることがあり、怒りを通り越してがっかりします。歩きながらの喫煙やたばこのポイ捨て、走行中の車からのたばこの投げ捨て・・・最近ではだいぶ見なくなりましたが、これは論外です。コロナ緊急事態宣言下での営業自粛無視やコロナ入院拒否に罰則を、という話がありましたが、むしろポイ捨てに罰則を付けるべきではないかと個人的には思います。どんな体液が付着しているのかわからない危険なポイ捨てマスクやたばこの吸い殻などのゴミ拾いをボランティアでしていただいている方々のことを考えると絶対にできないはずです。

コロナはウイルス表面に膜(脂溶性エンベロープ)があり、これは普通の石鹸内の界面活性剤できれいに壊すことができます。アルコールでも分解しますが、品薄だし、手湿疹ができやすい肌の弱い人は頻回のアルコール(だけの質の悪い)消毒薬で手がボロボロになってしまいます。そのような方は、石鹸・水道水による洗浄でも十分だし、あるいは消毒後のハンドクリームの併用が必要です。いくら手指消毒のため、といっても肌が弱い人が不必要に頻繁にアルコールを薄めただけの質の悪い消毒薬を振りかけることはどうかとおもいます。といっても質のいいものは医療機関でももう手に入らないくらいなので、一般の方が手に入れるのは困難と思います。ちなみに当院に置いている手指消毒用アルコールは私が材料集めて自作しています。

その2:抗原回避療法が花粉症対策並びに感染対策に有効です

まずはスギ花粉の回避対策。これが感染対策を兼ねるかも。発表される花粉情報をチェックして、ポカポカ小春日和のように飛散が多い日には不要な外出を避ける、薬を飲み忘れない、どうしても外出する必要があるときは、マスク(粒子が大きいのであべノマスクで十分、あれ?もう捨てちゃった?)やゾフなどが売り出している花粉症対策眼鏡でガードする、服についた花粉を落として入室する、換気は控えめにするか扇風機などで外に向けて短時間で行う(ウイルスがいそうにないところでの換気が実際どれくらい感染に役立っているの?などのツッコミは受け付けません)などで症状ができるだけ出ないようにしたほうがいいでしょう。

幸いにも街で100人歩いていたら99人はマスクしているご時世なので、マスクしていても花粉症とばれることはないと思います。缶バッチなんか使って花粉症をアピールすると、かえって嫌がられるかもしれません。んが、ヒトが怯えて近寄ってこないので、ソーシャルディスタンスを取りたい人にはバッチでアピールはいいかもしれません。話は変わりますが、スウェーデンではマスクをするとソーシャルディスタンスをとらないケースが高まるので、この前まで物理的にソーシャルディスタンスをとることができないとき(例えば診療の際)以外のマスク着用は推奨されていませんでした。マスク神話の日本ではとても受け入れられない話かもしれませんが、マスクしてるからといって油断してソーシャルディスタンスをとらないのは本末転倒です。

その3:薬物療法が花粉症対策の基本です

スギ花粉症には薬物療法が効果的です。特におすすめなのは、花粉の飛ぶ1-2週間前から予防的に服薬する「初期療法」です。症状がない時に薬を飲み始めたらなぜ花粉症症状が楽になり、症状がでるのを遅らせることができるのか、最近わかってきました。抗アレルギー剤のヒスタミン受容体に対する「インバース(反対の)・アゴニスト」という効果です。興味がある方は、文末のコラムで説明していますので、一読ください。

初期療法で花粉症症状を遅らせても、どうしても症状がでてきます。その時にはその症状の種類、強さに応じてその人に合った抗アレルギー剤に変更、あるいは追加します。これを「導入療法」といいます。また点鼻薬や点眼薬も有効でしょう。このあたりの薬剤選択のさじ加減で多くのスギ花粉症の方の症状が楽になることがほとんどです。

しかし一部ですが、通常の抗アレルギー剤の抗原回避療法や薬物療法で効果が不十分な重症のスギ花粉症の方もいます。その方々に朗報です。いわゆる生物学的製剤「オブリズマブ(商品名ゾレア)」も昨年から保険診療で使用できるようになりました。12歳以上で、採血検査でスギに対する特異的な免疫グロブリンEの血中の値が一定濃度の方で、過去スギ花粉が既存の治療でも改善しない重症の方限定です。ゾレアは免疫グロブリンEというアレルギー発症に関係するたんぱく質を無力化する皮下注射薬です。しかしすでに出ている症状の軽減は期待できないので症状出現初期から開始するのが望ましいです。おおむね2月から5月の3か月間限定で、しかもアレルギー専門医などのアレルギー診療に熟知した施設のみ扱えます。私は花粉症に使ったことはありませんが、喘息の方と慢性蕁麻疹の方にはゾレアの使用経験があります。その効果ですが、絶大でした。まさにライフチェンジャー。「人生を変えるくらい効く薬」であることを実感しています。だけど「効果があるほど高価」、というダジャレがよく似合う薬です。保険使って3割負担で薬剤費だけでも1か月約4500円から7万円(投与回数や投与量で違ってきます)です。

導入療法で症状を抑えても、薬をやめるとまたすぐ再燃してしまいます。花粉情報で花粉の飛散量がなくなる5月の連休くらいまで(ヒノキ花粉もある場合は5月いっぱい)は抗アレルギー剤を続行しましょう。これを「維持療法」といいます。これも症状に合わせて薬を取捨選択・漸減します。当院では、患者さん自身が症状に合わせて内服を取捨選択・増減していただくこともあります。

その4:スギ・ヒノキ花粉飛散期が終了したら「免疫療法」を強くお勧めします。

スギの季節性アレルギー性鼻炎とダニの通年性のアレルギー性鼻炎には、日本でも保険で免疫療法ができるようになりました。特にスギに関しては大変有効であることがわかりました。日本で最も舌下免疫療法を行っている三重県のゆたくりにっくのホームページにただし、現在出ている症状を止めるお薬ではなく、スギの場合花粉飛散時期から開始してしまうと、症状をむしろ悪化されることもわかっています。スギやヒノキの花粉飛散時期が終了する5月の連休後くらいから開始し、翌年の花粉症に備えるパターンが多く、また有効です。ただし、のど元過ぎればなんどやら、で多くの花粉症の人はそのころになったらつらかったことすっかり忘れてしまっています。でスギ花粉が話題になる今頃から思い出しますが、その時はすでに時おそし・・・開始できません。なんとも皮肉な療法です。

免疫療法は、舌下も皮下療法も3~5年ほど治療期間がかかりますが、舌下に関してはタブレットを1分間保持できる方であれば年齢制限はないし、痛くないし、アナフィラキシーが起こることはほとんどないし、重症度にかかわりなく気軽に試すことができ、既存の抗アレルギー剤との併用療法も可能で、治療効果も絶大なのでたいへんお勧めしたい治療法です。免疫療法については過去のシックキッズニュースでも紹介していますし、実際に使用している「シダキュア舌下錠5000JAU」についてはこちらで解説しています。併せて是非ご参照ください。また多くの方がつらさを忘れたころ、5月連休後のヒノキ花粉飛散が終了したころ、ホームページお知らせ欄LINE公式アカウントでお知らせいたします。興味があれば、連休後ご相談ください。

 

4. それで、現実問題、大分で花粉症の人が本当にコロナに感染したりうつしたりしやすいのでしょうか?

花粉症で鼻水・目のかゆみ・顔の皮膚のかゆみがあるかた、どうしても手で顔を触ってしまいがちになります。顔から手に付着したウイルスをまき散らすことになりはしないか、そこに目を付けた専門家たちがワイドショーなどで花粉症の危険性を喧伝するようになりました。

一見、ホーなるほど、とうなずかれる方もいるかもしれません(ここからは私の個人的な見解です)。でもちょっと待ってください。スギ花粉症の時期はインフルエンザや感染性胃腸炎の流行と一致します。じゃあ今まで春先に問題になっていたインフルエンザ・感染性胃腸炎ではどうだったのでしょうか?これまで「花粉症のせいでインフルエンザや感染性胃腸炎が流行する」とかいっていた専門家、いましたか?少なくとも私は知りません。一人くらいいたかもしれませんが、普通このような考えは、「風が吹いたら桶屋が儲かる」風の考え方として一笑に付されるだけです。

だらだら続いていて確かにうざいですが、コロナ・コロナといっても清潔ニッポンでは発生数はインフルエンザや感染性胃腸炎に流行と比べたら大変少ないです。東京で1日1-2千人程度。これは考えたら1万人に一人がだれか陽性になる計算でまさに万が一。大分市のこれまでのコロナPCR陽性者累計数が1月末で500例弱。平均したら1日1-2名。そうして1年で47万人の市民のうち、約1000人に一人が陽性になった計算です。冷静に考えたら、大分の市街地を歩いていてコロナになった人に合う確率はとても低いことがわかります。ましてやその辺に歩いている人がコロナウイルスを持っていることなど、もしかしたら芸能人と会うよりも確率は低いかもと考えていいでしょう。インフルエンザの流行の場合、学級閉鎖は頻発しますが、これはクラスメートの20%から30%程度の欠席が学級閉鎖の目安(明確な基準はないですが東京都教育委員会ではこれを一応の基準)になりますので、今問題のコロナとは規模が違います。クラスター形成しているような集団では話が別ですが、それ以外であれば神経質になることは実はないように思われます。皆さんはどう思われますか?

 

コラム:抗アレルギー剤の「インバース・アゴニスト」効果

スギ花粉症に対して症状がない時から抗アレルギー剤をスタートする初期療法が効果を示す機序として、このインバース・アゴニストという作用が注目されています。スギ花粉によって花粉症の人の体内で産生されたヒスタミンという化学伝達物質が、鼻や目の粘膜に存在する受け手側(キャッチャーみたいなもの)の「ヒスタミン受容体」と結合して刺激を伝えます。その結果、鼻水、粘膜の飛行による鼻づまり、鼻や目のかゆみ、充血、などの症状が生じます(下の図、左)。一方、花粉症で使用する抗アレルギー薬は、花粉を浴びたときに体に回るヒスタミンが、「ヒスタミン受容体」に蓋をしてヒスタミンを受容体にくっつけなくすることでヒスタミンの効果を無効にして症状を抑えるといわれていました(下の図、右)。これを難しい言葉で「アンタゴニストanti-agonistでantagonist」といいます。

しかし最近、抗アレルギー薬には、このアンタゴニストとしての働きだけでないことがわかってきました。つまり、花粉が飛ぶ前(まだ体内にヒスタミンが産生されていないとき)に抗アレルギー剤を服用しておくと、抗アレルギー剤がヒスタミンの代わりにアゴニスト(作動薬)としてヒスタミン受容体(受け手側・キャッチャー)に結合。その結果、結合を受けた受容体は役に立たない、いわゆる不活性型として安定し、毒であるヒスタミンがやってきても反応できない受容体になるそうです。この現象を「インバース(反対)・アゴニスト」(下の図、右)といいます。この発見が抗アレルギー薬の初期療法が効果を示す大きな根拠となりました。

診療内容:小児科・アレルギー科・予防接種・乳児健診
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